若年性アルツハイマー病における 前駆的記憶障害(仮称)の影響

リコード法による奇跡の回復

1年とすこし前に公開した記事に追記をしています。

若年性アルツハイマー病に侵され 命の危機に瀕していた主人が このあとに出会ったリコード法取り組みによってMMSEで10ポイントという奇跡的回復をし現在も回復傾向が続いています。

アルツハイマー病が残した傷あとのリハビリは厳しいものがありますが、毎朝ひとりで着替えてランニングに出かけ 規則正しい生活を送り 一旦あきらめた音楽活動にも復帰しました。

過去を見ると かなりシビアな進行状態で 「アルツハイマー病の真実と終焉」でも回復が難しいと記述されているケースに見事にあてはまることがわかります。それにもかかわらず、 ここまでのQOLアップが可能であれば より多くの方がもっと素晴らしく回復することができるのではないかと思い発信を続けています。

アルツハイマー病は進行するのみ、とあきらめないでチャレンジしてみようと思っていただければと願います。


こんにちは&はじめましてMUSICA YOROZUです

若年性アルツハイマー病 中期にさしかかり
生きがいだったオーボエの演奏を奪われていく音楽教師
ゆるやかに変化していく日常は見知らぬ世界へ
同行二人旅の記録となります

様々なタイプがあり それぞれの症状がある若年性アルツハイマー病において
私たちが体験する実例




これが現実アルツハイマー病全10話の続編です

尻尾をかんだ蛇

脳機能の低下によって引き起こされる症状を自覚するのも脳機能である

アルツハイマー病にかかった脳は自らが破壊されていく危機感を感じ続けることができない
ダメージがダメージの存在を意識の中から消していく

へびが自らの尻尾をくわえ 自らをのみこんでいくように

前駆的記憶障害(仮称)の影響

30年の日々をふりかえっての考察

アルツハイマーと言えば「物忘れ」を連想するほど 忘れるというよりも あざやかに「抜け落ちる」記憶障害はアルツハイマー病の代名詞となっている感がある

発症より20年以前より脳内の変化が緩やかに進行しているとされるアルツハイマー病

これはおかしい と自覚するかなり前から 意識にのぼらない小さな記憶の抜け落ちがあったのではないかとおもわれる

楽曲のノリについて
主人は研究熱心な教師であったので つねに新しい教材を研究していた

楽譜を読み 曲を覚えるスピードや 正確な模範演奏をすること 臨機応変な即興をすること すべてに高い能力があったのだが 診断をさかのぼること10年ぐらいのころから いわゆるノリに鈍さが出始めた
生徒とのジェネレーションギャップ 「最近の楽曲は・・・」といいながらの対応が増えたのだが 瞬間的な変化球などのない教材に関してはさほど違和感はなかった

時間にして0.05秒ほどの抜け落ちがあると シンコペーションの管理はむずかしくなる(普通の生活で気づくレベルではない)

書類作成について
同じころ 校務での書類作成では 特に「転記」の効率が下がり始めた

いわゆる「エンマ帳」は 名簿と細かい数字がびっしりと並んだ手帳で 左右を見比べて転記する場面が大変多い

左右を見比べる に要する時間はどれくらいだろうか?抜け落ちてしまったらもう一度見直すことになるので 定規でガイドをして見失わないようにする、転記後に読み合わせ確認をするなどの工夫を無意識におこなっていた

「抜け落ち」のおそろしさ

上記のように 違和感を感じられる事柄はまだよい
普通生活 人とのコミュニケーションにおいて小さな「抜け落ち」が予告なく襲ってくる場面を想像してみてほしい

「あ ぼ~っとしてた ゴメン なんだっけ?」

といえるのは 記憶の中に「ぼ~っとしていた時間」があるからで 抜け落ちてしまったのでは抜け落ちたことにすら気づけない
抜け落ちが抜け落ちを消し去る 自らをのみこんでいく蛇のようだ

つながっているようでつながっていない外界の現象は違和感と緊張をもたらし コミュニケーションは 不思議なギクシャクした手触りになる 

本人にとっても周りにとってもたいへんなストレスになる

これはおかしいと気づくまでに 病は本人の人格にダメージを与え 人間関係をずたずたにしていく

私たちの場合

主人は確かにイライラしていたが 家族もまたイライラしていた

「そんなことはしていない。 もし していたとしてもオレ悪気ではない、いつも誠実にやっている」
くりかえされたフレーズに当時の主人の苦しさがあらわれているとおもう

職場での緊張感はどんなものだっただろうか?

主人は被害妄想的に完璧を目指し 仮想の敵をつくり 攻撃的になっていった
思春期の長男は 完全否定されて 拒食症になり 私はDVの標的になった
両方の実家とは 断絶
自らの行動が自らを精神的な孤立に追いやっていくのだが 本人には全く自覚がない
渦中にある家族は 冷静な判断力を失っていた

ここで私の母が急死しなければ 診断への一歩はもっと遅くなっていただろう
葬儀にかかる一連の行事での 主人の奇行と「ネクタイが結べない」が大勢の目にとまったのっだった

病との長い付き合いのために

上記は前駆状態の間に私たちが経験したものだが それぞれの環境や人間関係によって現れ方は様々だろうと思われる。しかし 診断以前に少なからず精神的なダメージ受けているであろうと想像することは難しくない

人により うつ状態になったり 攻撃的になったり なげやりや無関心になったり 潔癖になったりすることだろう

 「抜け落ち」が 意識できないほどゆっくりと精神状態に侵入して ある種の他者への不信感を性格の中に作ってしまっている可能性が高いのだが あまりにゆっくりで本人もまわりも気づかない

私には 周辺症状があらわれる中期の混乱を大きくしている原因の多くが この前駆期のダメージに起因しているように思われるのだがどうだろうか
頑固になったり 取り繕い 作話 妄想など 思えば現れて当然である

アルツハイマー病の診断をうけて 将来の不安が押し寄せるそのときに現実を受け止めることと同時に「病」に気づかなかった期間 結果として人として不当な扱いを受け続けてきたことに対する 想いとケアを開始することは 本人にも家族にも必要だろう

できれば 専門的な手助けやプログラムがあればと思う

初診から3年と3か月
退職から1年
素人がのたうちまわりながらの手探りで 失われた人間関係 信頼や安心を回復するための時間としてはあまりにも短い

これまで と こらから

主人が若年性アルツハイマー病と診断されてから 3年と3か月
はじめの混乱が過ぎ ずいぶん自分たちの現実を冷静に見られるようになってきました

今とても残念に思うのは なぜ あの頃あんなに混乱しなければならなかったのか

そもそも若年性アルツハイマー病とはどんな病気なのか
情報もイメージもどうも曖昧で落ち着きが悪い気がして もがき苦しんでいました


長い時間をかけて進行するあいだに通過する様々なステージ (信じられない!)
医学的な所見と 処置・介入(どういうこと!?)
個々のケースに訪れるドラマ (ホントにそうなるの?)
本人と介護家族の物理的な問題とそれに対する工夫(実感わかない)
こころのケアや知恵(・・・といわれても)
社会的な問題・・・不確実な情報から生まれる偏見(私たちの何が悪いんですか?)


切り口がたくさんありすぎて 立ち位置がわからなくなっていた気がします
少しでももつれた糸がほどけますように との思いで始めたブログです
このページでは可能な限り 分析的な視点で綴るようにしています


生活視点 生身で体当たりのブログはこちらです~そのまんまでいいよ&ゆっくりしいや~

一年間を振り返ったあと 分析を利用して 初期の間にチャレンジできることをリアルタイムでレポートできるかと思っていましたが この2ヶ月ほどの間にまた様子が変わってしまいました

また未知の世界へ突入ですが 客観的レポートをこころがけて続けてまいります

病を題材にしていますが 行きつく先は

生まれて 生きて 去っていくさまを見つめること

になる気がします


若年性アルツハイマー病は人生を早回しのフィルムで見せてくれる病なのかもしれません

人生時計


みんなで若年性アルツハイマーな生活を理解しようの会

下記リンク 興味をもっていただけましたら ぜひともご参加ください



大風呂敷プロジェクト

行く道と帰る道

これより追記です
戻ることがない 片道切符のの旅だと思っていました。
どの瞬間も貴重な体験、しっかりと味わい尽くさなければもったいないと。
けれど そんな時間もないまま
このあと主人はさらに進行、恐怖や怒りはなくなり あきらめと無関心へと向かいました。
家族の精神的負担はある意味軽くなりました。
 あきらめ と 無感動で全てを受け入れて安定してしまいました。
さらさらと砂時計の砂が落ちていくように できないことが当たり前に増えて 長く苦しんでいた日々はそのまま砂にうずまり化石になるはずでした。

そして リコードとの出会い。リコード取り組み1年4か月になりました。

時計が反対向きに進み始めて 脳の不思議を知りました。
回復には「怒り」や「恐怖」も含まれます。
本人も家族も もう一度苦しみを味わうことになります。

もう一度 

けれど もとには戻りません。
より健康に より強く 生まれ変わっていくのです。

3型 バイオトキシンだからかもしれませんが
帰る道は行く道よりもスリリングです。


まだまだチャレンジは続いています。引き続き現在進行形のレポートを続けてまいります。


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