Ⅲ型アルツハイマー病との闘いが行きつく先は?(その7): 5年分の解毒作戦総括 (5)骨に潜む鉛、毛髪での検出は遅れてやってくる

緊急事態その後

依然として仰臥位からの起き上がり、立ち上がりができず座位からいきなり倒れるなど運動能力的には深刻な状態が続いていますが、傾眠、無反応はなくなり、発語はほとんどできませんが言葉を聞き取っての理解は戻ってきました。

排毒促進と神経再生対策をしながら検査結果を待っている間に解毒レポートを続けましょう。今回は「鉛」です。



毛髪での排泄は遅れてやってくる

まずは色分けの説明

各図、赤→毛髪検査結果青→尿検査結果 です。
ラインはDDI社が安全域としている基準値です。グラフは絶対量ではなく「基準値」に対してどう変化をしたかが見えるように変換しています。


赤と青を見比べると

山の高さに差がありますがよく似た形で赤のラインが青のあとにつづいているのが見られます。今回は鉛がきれいに図に出たので例として挙げますが鉛に限らず尿中、毛髪ともに検出できるものの場合はこうなります。

尿は絶えず血液からこしとられて排泄されているので排尿時から遡って数時間~の血液の状態が反映されています。その血液は遡ること数日の身体の状態が反映されている、かなりホットな情報と言えます。対して毛髪は、肝臓を通り血液に乗って毛根の細胞に取り込まれ毎日少しずつ伸びる髪の毛にくるんで体外へ出すので、根本3cm程度の検体の中には過去3か月~6ヶ月の様子が詰まっているのです。つまり毛髪での変化は尿での変化より3~6か月遅れて確認できると言えます。

このタイムラグはデトックス対策の確認検査をする際に覚えておくとよいと思います。デトックス対策に効果があったか否か、対策終了直後に毛髪検査をしてもわからないので髪の毛が伸びてくるまで待ちましょう。

鉛の曝露源推察と症状

鉛は供給源はどこだったのでしょう?鉛は長く給水管に使用されてきたため、上水道の使用によって水に溶け込んだ形で摂取してしまった可能性があります。気になる方は飲み水水質検査をおすすめします。


現在では鉛管は新設されることはなく撤去の方向となっていますが完全撤去には時間がかかりそうです。


記事にあるように「私有地」の撤去作業は住民の自発的な交換だのみになっています。私たちが結婚以来25年住んだ地域は京都の古い住宅地で共有私有の道路の両側に町屋が並んでいました。工事には全戸の同意が必要で補助金による取り換えもできないままでしたのでずいぶん長く鉛を摂取していたことになります。まさか深刻な蓄積を起こしていると思いもせず、無知とは恐ろしいものです。

こちらの記事では鉛中毒の症状として、頭痛、関節痛、強い腹痛、嘔吐、感覚喪失、歩行困難が挙げられています。

さて、グラフは町家を離れて2年半後からスタートしています。

2017.06.~2019.04.

基準ラインよりも低いところで推移しています。排泄能が低い主人なので当然です。この時点では鉛蓄積など少しも疑っていませんでした。①の期間グルタチオンの点滴を週2回ペースで続けましたがその効果でわずかに排泄促進したようにも見えなくもありませんが、その後に大量排泄がやってきたことからグルタチオン点滴では解決していなかったことがわかります。

2019.04.~

②の地点よりヌートリジェノミクスによるメチレーションケアを始めました。グイっと排泄量がアップし始めた様子が見え鉛はメチレーションの状態に反応することがわかります。

ふたつの山と誘発要因

青いライン(尿排泄)で見ると2020年3月と2021年1月に排泄亢進が見られそのあとに赤いラインの上昇が続きます。


一つ目のピークはDMSAによる負荷検査の数値です。DMSAキレートで尿中に引き出された毒性金属を計測する方法なので随時尿検査に比べて高排泄されています。この時の検査の結果では最も緊急の高曝露状態だったタリウムを狙ってDMSAによる解毒を行いました。(このレベルでもDr.的には鉛はたいして脅威ではないというご意見)そして解毒後の確認検査で鉛は検出不可能域まで下がっています。鉛に注目した対策ではなかったのですがはっきりと結果が出た。このことから鉛はDMSAにとてもよく反応するということがわかります。

二つ目のピークはピンポイントの解毒をやめてメチレーションケアに力を注ぎ始めたところになります。誘発物質は使用していないのでメチレーションへの反応と思われます。

鉛は骨に潜んでいる

注目したいのはなぜDMSAで出し切れたと思われた鉛がまた噴出してきたのか、です。
この現象は鉛のほかアルミニウム、水銀でも起こりました。体の組織にガッチリと組み込まれたものはDMSAでも出し切れないということだと思います。

鉛はミネラルと置き換わる形で骨に蓄積していると言われています。骨に組み込まれてしまった鉛は身体に備わっているはずのミネラル調整力を阻害して、エネルギーの産生にも影響。。。と恐ろしいことになっていたようです。鉛はメチレーションの力でもきちんと活性させなければ引き出すことは難しいとされているのでブワっと噴き出してくれて落ち着く方向へと行ってくれたのは「成果」と言えます。

しかし、この期間の副反応も厳しかった。

歯が欠けてしまうほどの歯ぎしりや、観葉植物をちぎっては口に入れる「異食」、家具をひっくり返して暴れる、脱走を繰り返す、etc. そしてその嵐が過ぎた後にかなりはっきりとした回復期がやってきました。現在、また歯ぎしりが激しくなってきている、ミネラルバランスが大きく崩れているなどから、もしかしたら三度目の鉛排泄亢進が来ているのかもしれません。検査結果待ちです。



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