ああ、代謝の個性を無視しないで!:メチレーションで終末期からの逆転を狙う(その3)

ヌートリジェノミクスをフル導入してアルツハイマー病からの回復を狙っていた矢先の肺炎から長期入院。プロトコルは突然の中断やむなし。

短期間なら仕方のないことで終わらせられるけれど、普段からサプリメントで代謝の弱点を補って何とかやっていた身体がどこまで耐えられるか。血液検査の数値を見ながら素人読みですがやきもきしていました。もちろん退院後は最速で回復させるべく調整。処方されていた薬剤をストップして完全回復させるまでの10カ月間のレポートです。 

シリーズ記事

メチレーションで終末期からの逆転を狙う(その1)

胃瘻は戦闘ツール:メチレーションで終末期からの逆転を狙う(その2)


代謝の個性

人には生まれながらの傾向、個性があります。行動や感性だけでなく、身体の持つ力にも個性があり生活習慣とあいまって風邪をひきやすい、ひきにくい、治りやすい、治りにくい、体温高め、低め、疲れやすい、活力あふれるetc.と様々です。そこには生まれ持った代謝酵素を作り出す遺伝子が少なからず関わっているようです。

一般に生活習慣病と言われる物の多くは代謝異常によるもので、誰しも代謝能が年齢とともに低下していき慢性病を抱えやすくなることは避けがたいことです。とはいえ、命を全うするまで投薬などの補正を入れながらであってもそれなりに持ちこたえる人が大多数です。

原因不明の難病を起こしやすい代謝個性とメチレーション

代謝個性と心臓病の関係や代謝個性と高脂血症の関係などが研究されて定着し始めた昨今ですが、いまだ神経難病と代謝については解明されていない部分が多くあります。標準医療で具体的なアプローチがなされることがなく、検査適応にもなっていない。そのせいで「原因不明」で「精神的な問題」と言われることがとても多いのです。

私は、原因不明の体調不良に悩むひとは個性としての代謝の弱さ持っている可能性が高いのではないかと思っています。

50歳に満たずアルツハイマー病を発症した主人の場合は神経破壊が起きてしまうほどの毒性物質を全身に蓄積してしまうという代謝個性。だけでなく神経伝達物質を作り流していく、エネルギーを効率よく生み出す、アミノ酸を上手に利用するなどを苦手とするという傾向があります。ヌートリジェノミクスは苦手部分を補うサプリメンテーションをしながらメチレーションによって遺伝子の発現調整が起きることを狙うというもので、どのような対策も代謝の個性を抜きにしては考えられません。ヌートリジェノミクスのセオリーに基づき、主人は活動的な毎日をおくるために代謝の個性に合わせて各種サプリメントを摂取していましたが、突然の入院。サプリメントはストップです。

サプリメントの助けがなくなると

ヌートリジェノミクスのプロトコルの調整上で最も注目しているのはリチウムとビタミンB12とメチル葉酸を使った経の活性で、うまくサポートできているとメチレーションが活発になり解毒システムが亢進してきます。

当初は、ああ、入院かあ。メチレーション止まっちゃうなあ。頑張ってうごかしてたのになあ。しかたないか。

という感想でした。

サプリメンテーションが止まるとメチレーションが止まり解毒、排毒がストップする。その結果として、解毒、排毒にかかるエネルギーと毒性物質による負荷が取れて闘病には有利になるはず、悪くないかもねと。

現実はもっと大きな問題に気付かずにいたのですが。

メチレーションと解毒の負荷についてはこちらへ↓


ICUでの闘いのあいだに

ヌートリジェノミクスのB12プロトコルStep2ではとても高用量のB12をB12の3つのフォームであるメチルコバラミン、ヒドロキシコバラミン、アデノシルコバラミンを網羅するように使用します。用量とバランスはStep1からの検査をもとに割り出していかねばなりません。

主人が入院するICU病棟はコロナ対策のため立ち入り禁止でした。
はじめの1週間で10Lだった酸素投与を7L、3L、1Lと減らすことができ順調に呼吸状態が改善していきました。気管挿管、人工呼吸を考える必要はなくなり、ようやく病棟で主治医からの病状説明があると呼び出されたのが入院から7日目です。

「酸素は減らしてもいけているんでよいのですけど、血圧が下がってきてですね、昇圧のためにノルアドレナリンを投与しています。このまま下がり続けると正直危ないのですが、それに対して昇圧剤をどこまで増やすか、なんですよね。。。」つまり、危篤状態ということで、延命とか緩和とか、つまり万が一のことも覚悟をしておいてくださいというお話でした。

入院時からの血液検査の一覧をプリントアウトしてもらい「闘いの足跡だよなあ。身体ギリギリ頑張ってるんだよね。これが現実なんだよ、うけとめないとな」と眺めながら帰路についたのですが「え?ちょっとまって、サプリメント突然止めたらそりゃあそうなるわ」と数字たちのふるまいから気が付いてしまったのです。「急激なビタミンB12不足は神経伝達物質の代謝を停滞させるやん、ていうかサプリメント頼みで身体を維持してきたってこと忘れたらあかんわ。これで引き戻せるんとちゃうか?」

まさか主治医にヌートリジェノミクスの話をする?鼻で笑われるだけでしょう?であっても話さないと後悔することになるよ、きっと後悔する。

ど根性で電話をしました。

主治医が「代謝の個性」についてどういう解釈をされたのかわかりません。命の水際への家族の願いとしてわがままも聞いておこうかというものだったのかもしれません。点滴にBコンプレックス静注剤を追加してくださり、なんと、即日主人は持ち直しました。

力抜けました。

Bコンプレックスの威力だったのか、経鼻で投与されはじめた栄養で身体が起きてきたのか、たまたまだったのか神経伝達物質の計測がなされるわけでもなく「よかったですね」で終了です。

入院が長引いて

そこからはトントンと順調に回復するかと思いきや微熱が続くなど一進一退。一旦気になってしまうと栄養サポートができないことで日々狂っていく代謝を示唆する検査数値が目について仕方がない。入院即日血糖値が爆上昇、(これは数か月間ケトン代謝で回していた身体にグルコースの点滴をぶち込んだためでしょう)5日目で貧血傾向が出始め(サポート切れでクレブス回路が回らなくなり造血ルートも停滞)、10日目で血栓のシグナルが上昇。脂質代謝の追跡はされていませんでしたが、サポート切れでACATが大活性状態になりコレステロール大量生産、きっとLDL爆上げだったと思われます。血糖値上昇とあいまって粥状アテロームの成長いちじるしく血栓へ向かうしかない。

そして、代謝の乱れは脳神経の生存を脅かす。代謝病であるアルツハイマー病には致命的です。せめて鼻管から注入する栄養を代謝のタイプに合うものに変更できないかと何度も掛け合ったのですが「病棟栄養士の意見も聞きましたが問題があるとはおもわれません」と完全無視でした。主治医にとっても栄養士さんにとっても「代謝の個性?それ何?診断されたものがあるの?」と言ったところなのでしょう。

挑戦と成果の10カ月

さて、攻防の末ようやく退院にこぎつけました。その時の血液検査数値です。スタチンやプロトンポンプ阻害剤が処方されています。


コロナ、発熱、肺炎と経過してきかのだから多少の乱れはしかたがないとしても、これは早急になんとかしなければならないレベルかと思われます。逆にいえば、主人は一般的な管理のもとではこのような乱れを引き起こす「代謝個性」の持ち主ということが浮き彫りになった形です。入院中の管理のもとでこれは残念な限りです。

退院時の主人は見る影もなくやせ衰えて反応も鈍く、全身の重篤症状には怯むほどでした。栄養補正でどれほどの効果があるかは未知数でした。それでも目の前の数字が示す代謝の乱れを放置はできません。少しでも良い方へ向ける努力を。そのために自宅に戻ったのですから。

栄養の力

退院から8カ月後と10カ月後の数値です。


CPKの上昇によりスタチンを止め、MCHCの改善しないためプロトポンプ阻害剤を止めました。代謝の個性の説明に対して「なるほど、それでは一回やめて様子を見ましょう」訪問のDr.がそう言ってくださる方でよかった。2か月後にLDLの極端な上昇もなくMCHCが改善していることからACATの過活性もなだめられてクレブス回路も何とか回せていると思われます。造血、脂質代謝、低栄養、すべて改善です。HbA1cは下がりましたが食後過血糖の傾向が続いています。膵臓への血流はまだ完全に回復していないのでしょう。今後も対策と観察を続けます。

代謝の個性を見据えての栄養補正でこれほど鮮やかに成果が出るとは正直思っていなかったのでびっくりです。経口摂取ゼロからスタートだったので胃瘻がとても活躍してくれました。


メチレーションのメンテナンス

入院により回らなくなってしまったメチレーションのメンテナンスも栄養補正と同時進行で進めました。ヌートリジェノミクスStep1プロトコルから注意深く。メチレーションが復活すれば解毒が始まってくるはずなのです。退院後間もない時期の体力では解毒の負荷に耐えることは難しそうでしたので急激な変化を起こさないよう、栄養補正で血色がよくなり、筋肉や皮下脂肪がついて傾眠傾向が改善してくるのにあわせて1滴、一粒とサプリメントを増やしていきました。

5ヶ月が経過してフルサポートに戻せたころから解毒の兆候が見え始めましたのでそこからさらに2ヶ月待って(髪の毛が伸びるのを待つ時間です)メチレーションチェックのため、毛髪、尿金属、尿アミノ酸の検査を出しました。凶悪金属の疑いが強くて待っていられない、急ぎの場合は糞便金属検査がよいのですがこちらではアルミニウムのチェックができません。今回は毛髪でじっくりと。

本丸を攻める

代謝の個性にあわせた栄養補正をおこない、とうとう副反応というリスクを冒してメチレーションで排毒の活性化を狙うことができるところまでやってきました。身体に蓄積して神経を破壊する毒性物質の負荷を解決しようと努力を続けること、それが今の私たちにとって生きる意味なのです。正常な日々に戻ってこられた安堵を感じています。

さて、逃げ切れた先にあるかもしれない神経再生へと続くはずの道、毒性物質の噴出が始まって3年あまり、代謝の崩れを経て復活した今、排毒はどうなったか。次回へご期待ください。

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63ページのそれに対する解説

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