認知症簡易検査 MMSE項目から考えた音楽活動の効果について


こんにちは&はじめましてMUSICA YOROZUです

若年性アルツハイマー病 中期にさしかかり
生きがいだったオーボエの演奏を奪われていく音楽教師
ゆるやかに変化していく日常は見知らぬ世界へ
同行二人旅の記録となります

様々なタイプがあり それぞれの症状がある若年性アルツハイマー病において
私たちが体験する実例その8




渡れない川をはさんで

私には主人から見えている世界を正確に知ることができず また 主人の方からも私のいる世界を把握することがむずかしくなる そして 二つの世界をへだてている川は時とともに幅を増していくのはさけられない

毎日欠かさないオーボエの練習

川の向こうから届く音が たくさんの情報を伝えてくれています
音楽が伝えてくれる変化を言葉に置き換え 行くことのできない世界を想像して

らしくないアルツハイマー病

多くの人がイメージするように アルツハイマー病は老年期に多く発症する
40代で発症することが自体がまれなことなのだ
65歳以下で発症する若年性アルツハイマー病は アルツハイマー病全体の10%程度

またさらに 「言語障害を主な症状とするタイプ」は記憶障害が初期症状の典型的なアルツハイマー病の10%程度

目の前にある現実が私たちにとっての100%なのだが それは全体からすると1%の現象だという

自宅でMMSE

MMSEとは、Mini Mental State Examination(ミニメンタルステート検査)の略で 認知症の疑いをもっとも簡単に発見できるもの

サイト検索すると


MMSEが認知症の可能性を判定するものであるのだから 検査項目には何をもって認知機能というかの考え方が反映されているはずである

解説もあり

日時・場所に対する見当識 / 言葉の記憶と遅延再生 / 計算 / 物品呼称 / 復唱 / 口頭による3段階命令 / 書字理解 / 自発書字 / 図形描写

となっている

これらの項目を見ると なるほど と思う
認知症とは これらの活動をつかさどる機能が何らかの障害ををうけて機能不全に陥っているということなのだな と

実際にやってみると

採点に際しての注意事項も書かれていたが 回答までの時間に関しての点数化の指標がなかった
(病院でうける検査にはいつもストップウォッチが使用されるので 正確には時間測定をするのであろう)

主人の場合は言葉が出てこない&右手が動きにくい

さて 実際は・・・
真剣に回答しようと集中しもごもごと口ごもるが 結果として正解となる。模写も理解分析しているが 手が動かないため1度は描き損じるが リトライで描き切る

時間の制限をつければ 限りなく0点に近く 時間無制限だとすればほぼ満点ではないか!

認知症で失われるとされる機能は保たれていながら 実生活レヴェルに引き出してくるための連携が失われている

と言えるようだ

画像でみたダメージが 海馬中心ではなく 左側頭部から進行しているのだから当たり前の結果といえば当たり前 そして 一般的に使われる検査では 主人の場合の進行度合いを観察することがむずかしいのだな、つまりは少数例なのだ と納得した

音楽で見ることができ 音楽でリハビリができる

毎回のくりかえしになるが 音楽があって本当によかった

小さな短期記憶を積み重ねる

MMSEで主人が一番苦労していたのは 引き算の問題で「100から7をひいてください。。。そこから7をひいてください。。。そこから7をひいてください・・・」

OH!【7】!小学校2年生当時 どうしても7の段の九九が覚えられなかった悪夢がよみがえる(これは余談)確かに10までの数のなかでの最大の素数の扱いはデリケートだなとおもった

質問をしながら 私は頭は中で「1の位が・・・10の位が・・・そして結論が」と無意識に作業(?)しながら主人の様子を観察していると 同様にグルグルしているようである

「93だな・・・八十・・はちじゅう・・・えっと ん?・・・6だけどなんだっけ・・・ああ、86・・・へ?」

と ステップを積み重ねるにあたって 前段階を保持することができず 出発地点へもどってやり直して少しずつ前進している

この設問に関しては 79にたどり着くころに疲れてしまった

文や物の名前を何の苦労もなく記憶して保持している(発語には苦労する)のに 意外な印象だった

初見視奏から楽曲として覚えるまで

上記の「引き算」と同様の作業が 実は楽譜を読んで音楽を作っていく作業のなかにある

五線と玉の位置から出すべき音を判別する
基準速度を保持しながら 相対的に長さを計測する
前に出した音との関連性から 意味づけをする

小さなステップの積み重ねと その結果の現象の評価をおこないながら前進する

確かに初見の能力は 下降傾向だと思っていたが 新しく音楽を覚えたいという意欲はまだまだ健在なのだから リハビリとして利用しない手はない

そして

「曲」と認識されてしまえば 新しい記憶の獲得である!

運動のリハビリ

MMSEの項目には「失行」に関係するものはない

しかし 主人は記憶障害よりも失行が目立つ
読むことができることを考えると 失語にも「発話運動」の失行があるのかもしれない

日常生活では ぎこちないながら 食事も着替えもできるし 観察してもちょっと不便そうだな くらいにしかわからない

しかし オーボエの練習を観察すると どういった条件で どの指がどちら方向へと誤作動するのかまでがはっきりと見える
さらに 音を聴くことで本人にも簡単に自覚でき 克服しようとの意欲を引き出すことができる

主人の失行はほぼ右手指
リハビリを意識して練習曲を選択することができるので 昨年夏ごろから 目立ち始めた小指 薬指の不具合が随分解消された
今 薬指と連動して中指を使用する場合の中指に位置の失認識がおきる
もちろん、リハビリプログラム 現在進行中

総合的にみて

意欲を継続して引き出すことができる
各ステップに対する細かい観察が可能
「音」を介して理解を共有できる
最終的に「音楽」を楽しめる

活動自体が 全身の有酸素運動である

社会活動へつながる可能性がある

たまたま 私が長年取り組んできた仕事が個々の成長に対する音楽レッスンの最適化だったから 主人仕様のカリキュラムを作ることはその延長線上にある。しかし これはプライベートな改善策にとどまらない可能性を感じるのだが なんとか掘り下げ広げることはできないだろうか?

発話に対するアプローチも 「歌を引き出す」レベルを超えてシステマティックにできないものかと"一緒に"考えることができるのは とんでもなくめぐまれた状況とおもい 是非ともチャレンジしたい


尻尾をかんだ蛇

脳機能の低下によって引き起こされる症状を自覚するのも脳機能

アルツハイマー病にかかった脳は自らが破壊されていく危機感を感じ続けることができない
ダメージがダメージの存在を意識の中から消していく

へびが自らの尻尾をくわえ 自らをのみこんでいくように

認知機能がさほど衰えないままに 失行が進んでいく少数のアルツハイマー病、本人にとって精神的に酷いものかもしれませんが 「自分らしく」生きようとするエネルギーを追っていきます


みんなで若年性アルツハイマーな生活を理解しようの会

下記リンク 興味をもっていただけましたら ぜひともご参加ください

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