アルツハイマー病 リハビリについて考える

2017年5月に公開の記事に2018年7月、追記しています。
なすすべなく進行するだけだったアルツハイマー病
ReCODEプロトコルへの取り組みを始めようとしていたころの記事です。
現実に進行抑制 回復へと向けることがでた貴重な記録だと思います。


こんにちは&はじめましてMUSICA YOROZUです

若年性アルツハイマー病 中期にさしかかり
生きがいだったオーボエの演奏を奪われていく音楽教師
ゆるやかに変化していく日常は見知らぬ世界へ
同行二人旅の記録となります

様々なタイプがあり それぞれの症状がある若年性アルツハイマー病において
私たちが体験する実例その4


これが現実アルツハイマー病全10話の続編です

尻尾をかんだ蛇

脳機能の低下によって引き起こされる症状を自覚するのも脳機能である
アルツハイマー病にかかった脳は自らが破壊されていく危機感を感じ続けることができない
ダメージがダメージの存在を意識の中から消していく

へびが自らの尻尾をくわえ 自らをのみこんでいくように

日々の課題から

毎日 教則本の第1ページ目からくりかえしているオーボエの練習は1日当たり5~6時間

あらがいがたい病の進行が音で聴こえる

もれ聴こえる音はおおむね正常にすすんでいく基本訓練課題

「読み」はときどきいきなりの変形がおきる

五線の位置を読み間違える
テンポがとつぜん2倍になる
小節がとばされる

変形については本人は気づいていない

課題内容の確認

「この課題において注意して行うことはなんだったろうか?」

無意識のままくりかえしていることに突然気づくらしい

あるときは楽譜に書かれたメモが不明の暗号に見えるらしい

抜け落ちている・・・実感はないが 失いたくないものがすり抜けていく感じはあるのか 同じ内容を定期的に確認しにくる

断片の美しさ

毎日のくりかえしで曲として取り込まれたものは変形がおこらなくなる

教則本の課題なので 曲というよりは「音型」または「音」なのだがさすがに磨きがかかっていく
ピンポイントで音を聴き分ける集中力はアップしているように思う

指のコントロール

複雑な運指を意識的にコントロールする課題の困難は増している

指の感覚にフォーカスせず聴こえる音をたよりにフィードバックすることで 一度失われた 微妙な一点とらえる技術が ゆっくりの音型ではよみがえっている

指の運動

3年前の初診時にすでにあらわれていた「失行」的な指の泳ぎ 「キーのないところに指がいく」感じが5ヶ月前をピークに減少している

くりかえし同じ運動をすることで 失われたものがよみがえるのかもしれない

脳の不思議

楽器の練習!なんというリハビリだろう!!同じ動きを延々6時間 しかも嬉々として続けられるとは!

        

キツネのかたち
これは 何を判断するための検査なのだろうか?

初診時の診察室で 一番になされたものだったのだが 指がまるまってしまい こわばったようになってどうしてもできなかった

無理にしようとがんばり、 全身がねじれて危うく椅子から転げ落ちそうになったぐらいだ

3年4か月も前 目立った記憶障害もないころのことなのだが それが今は 難なくできるのだから脳の中でなにがおこったのか 不思議としか言いようがない

もっと不思議なのは カフスのボタンを留める苦労は相変わらずで 毎日苦労している。本当に脳はわからない。ネクタイは確かめていないのだがどうなっているのだろう

自然な生活の中で

退職直後は閉じこもってしまわないように 出かける場所を探すことに腐心したものだが どうやら主人にとっては今の生活が心地よいらしい

階段を上がったり降りたり 窓の開け閉めをして家に風を通し 夕方には戸締りの確認に一巡する

ゴミの日 廃品回収の日には早起きをして外回りの掃除をする

門柱のところまで行き 新聞 郵便物をこまめに確認する

ちょっと休憩に台所へ行くのは 練習部屋からなかなかに距離があるし 布団の上げ下ろしは全身運動になっている

あとは お気に入りのCDを聴いて オーボエの練習をして 本棚をながめて調べ物をする

たまに 近所を散歩したりスーパーに買い物にいったりする

生活そのものが 緩やかにリハビリになっているのかもしれない

無理のないペースで続けることで 必要な機能はどこかで代替えされて復活するのかもしれない

追記:パソコン操作は退職直前の部署で相当ストレスだったらしく まったく手をつけようとしない 結果 マウスの持ち方 クリック スクロール すべて忘れてしまった。にもかかわらず・・・CDコピーの手順だけは忘れていないのは驚くしかない!

とまらずに自らが主役の生活を続ける

すべてに100点満点とはいかないが それぞれにとっての必要なこと なくしたくないものが自然に生活の中でくりかえされて  結果リハビリになるのではないだろうかと思うのだが

みんなで若年性アルツハイマーな生活を理解しようの会

下記リンク 興味をもっていただけましたら ぜひともご参加ください




渡れない川をはさんで

私には主人から見えている世界を正確に知ることができず また 主人の方からも私のいる世界を把握することがむずかしくなる そして 二つの世界をへだてている川は時とともに幅を増していく日常です

生活視点 生身で体当たりのブログはこちらです~そのまんまでいいよ&ゆっくりしいや~こちらもよろしくお願いします


追記:アルツハイマー病とリハビリ

さて このあと半信半疑で取り組みを始めたReCODE(当時はMENDプログラムとよばれていた)でしたが ”The End of Arzheimer's”すら出版前、「アルツハイマー病 真実と終焉」はまだまだの当時。検査?型????の状態で、主人が毒素暴露による3型ではないかとあたりをつけられるまでに3か月以上の時間がかかりました。その間、解毒に手を付けられず、毒素によるダメージが進行し続けていたかと思うと とても残念です。

ReCODEの本格日本上陸によって まず何をすべきかがまとまってきています。理解のある医療機関も続々と増えて、当時より検査への道もずっとつながりやすくなっているのは素晴らしいことだと思います。

進行してしまった3型の主人、広範囲にダメージが広がり 萎縮もある。実はこのタイプはReCODEでの回復は難しいとされているのです。

ReCODEは食事 睡眠 運動 などをシステマティックに行い全身的に代謝の改善、ホルモンバランス、ミトコンドリアのケアを目指します。そして それによってダメージを食い止めることができた脳は再び認知機能をとりもどす、というコンセプトです。
けれど すでに そこにあるべき脳細胞が萎縮によって消失してしまい、広い範囲で機能不全になり、血流が低下してしまって 有害なたんぱく質が大量に蓄積してさらにダメージを拡大しようとしている状態の3型では ReCODEの基本行動で代謝が改善しても認知機能は中途半端に戻ってくるだけ。回復が難しいというのは きっとそういうことなのでしょう。

そこで、ReCODEプラスアルファ、個人仕様で失われた機能に対するリハビリが重要になると思っています。神経可塑性をどこまで引き出せるか。

主人のおもなダメージは 言語(書字、発語、単語想起)手指の失行  超短期記憶です。

とても残念なことですが今のところ アルツハイマー病に対してリハビリを行ってくれるところはありません。進行性の病名がついている患者は「機能回復」訓練機関にアプローチしても断られてしまうのです。ReCODEプラスアルファ 進行を抑制することと並進行で脳の再建に取り組むシステムが整備されたらすばらしいのに、とおもいます。

ReCODEプロトコルver.ヨロズ

もともと練習オタクだった主人は 病におかされながらも 欠かさず練習を続けてきました。何度も何度も教則本の1ページ目から。1日の練習時間は少なくて2時間 多い時には8時間以上です。
教則本は初心者がひとつずつ演奏技法を理解して身に付けていけるように編まれていますからこれ以上のリハビリプログラムはありません。
ダメージを浮き彫りにし 回復を示してくれる最適プログラムで、ページをめくり進んではまた1ページ目戻ってはじめからやり直すことをくり返して。こんな好条件、利用しない手はありませんから、運動や瞑想や脳トレのプログラムもすべて結び付けていきました。
可塑性を信じて継続中です。現在、1月あたり2曲のペースで前進できています。

ReCODEプロトコルver.ヨロズ / 脳トレしながらプロトコル効果を追跡する

インフォメーション

ヨロズ公式Webサイトはこちら。
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